01962

MGMリゾート、2025年に日本IR開発へ約3億ドル投資 大阪・夢洲の計画が次段階へ

Category:コラム
32279.png

MGMリゾーツ・インターナショナルは、2025年に日本の統合型リゾート(IR)開発へ約3億ドルを投じる方針を示した。

同社は「今年は約3億ドル、その後は年5〜6億ドル規模で拠出し、最終段階でプロジェクトファイナンスのデットを活用する」と説明しています。

資金手当はすでに進み、円建てで約3,800億円の枠組みを確保済みの様子。

現地では設計の詰めと工事準備が投資の主眼になる見通しです。

計画地は大阪湾の人工島・夢洲で、2025年4月には起工式を実施しました。

複合施設の開業時期は2030年秋ごろが基本線とされ、ホテルや国際会議場、商業施設などを備える大規模案件となるでしょう。

なお、本計画はオンラインカジノ(オンカジ)ではなく、観光・MICE機能を核にしたランド型の総合リゾート。

オンライン上で遊べる利便性の高いオンラインカジノと違い、ランド型なので、実際にカジノに行く必要があります。

島内インフラの整備状況を踏まえ、工程の安定化が当面の課題です。

資本面では、2025年5月時点でMGM側のエクイティコミットメントが4,280億円へ引き上げられました。

これは為替換算で約30億ドルに相当し、パートナーであるオリックスとの共同出資により、初期段階は自己資金中心で進め、その後にデットを重ねる構成。

企業側は段階的な拠出で資本効率とプロジェクトの確実性を両立させたい考えだと受け取れるでしょう。

年内の約3億ドルは、詳細設計の確定、現場インフラの整備、運営オペレーションに関わる準備体制の立ち上げに配分されると報じられている。

地盤や物流の要件を見極めつつ、建設入札や供給網の管理を前倒しで進めることで、後半の建設コストのブレを抑える狙いが見えてくる。

一方で、巨額案件ゆえのリスクも無視できない懸念点です。

建設資材の価格変動や人手不足は日本の大型プロジェクト全般で共通する課題だし、金利水準や為替の振れは資金調達コストに影響を与えることが考えられます。

コンソーシアムは2024年に大口の融資契約を取り付けており、自己資金と借入の組み合わせで資金繰りの安定化を図ってきたが、工程の確実な進捗管理が信頼の土台になることで地域への波及効果は大きいはずです。

国際会議や見本市の誘致、周辺観光との回遊性向上、雇用の創出など、複数の経済効果が期待されます。

大阪は空路や新幹線の結節点で、国内外からのアクセシビリティが高い都市。

MGMが示した年間5〜6億ドル規模の継続投資は、単年度の建設出費にとどまらず、開業後の運営資産や人材への投資計画と地続きであると考えるのが自然でしょう。

運営主体の大阪IR株式会社はMGMとオリックスが各40%を持つ体制で、地元勢と連携して意思決定を進める。

経営面では近年の自社株買いも話題で、同社は発行済み株式の40%超を買い戻したと説明し、成長投資と株主還元の両立を示したい構図。

また、運営開始を見据えた人材育成や地域連携の設計も動き始めています。

観光・ホスピタリティ分野の研修、MICE運営の専門人材の採用、交通混雑対策や環境負荷の低減策など、実務面の準備が段階的に進む見込みです。

依存対策や入場規制、本人確認の強化といった社会的配慮も重要で、運営ルールの透明性が信頼形成の要になります。

大阪・関西の既存観光資源との連携が集客の鍵を握るでしょう。

資材調達では地元企業の参画機会を広げ、災害レジリエンスやBCPの検証も並行して行う構えです。

サステナビリティ認証の取得、再エネの導入、廃棄物削減の仕組みづくりも検討対象とされます。

加えて、デジタルチケットや多言語対応、キャッシュレス決済の拡充によって滞在体験の質を上げ、国際イベントの開催実績を積み重ねる方針。

開業準備の具体化が、投資計画の確度をさらに高め、関西全体のブランド強化にも資するはずです。

さらに、万博後の来訪需要を受け止める“ポスト万博”戦略も重要で、周遊導線と夜間経済を整え、季節に左右されにくい収益基盤を狙います。