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リミックスポイント代表、役員報酬をビットコインで支給へ

Category:コラム
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エネルギー事業やフィンテック事業を展開する上場企業、リミックスポイント社が2025年7月8日、役員報酬をすべてビットコインで支給することを発表しました。


同社の代表取締役社長である田代卓氏は、SBIホールディングスの暗号資産取引所「ビットポイント」の前代表でもあります。こうした経歴を踏まえると、日本初となる報酬全額をビットコインで受領するという決定は、理念だけでなく実務面においても十分な説得力を持つ選択と言えるでしょう。


そして、同社は「ビットコインを通じて、経営者自身が株主の皆様と経済的な運命を共にすることにより、株主の皆様と経済的価値を共有する体制を構築します。」というコメントを自社サイト内で公表し、新しい形の「株主視点経営」の実現を目指していくことを明言しています。


このニュースは、暗号資産の実用性について国内で議論を呼ぶきっかけに。実際に、暗号資産の専門家は将来的な価値が1,000倍になると予想される銘柄を複数取り上げていますが、その中にはやはり「仮想通貨トレーディングボット」や「仮想通貨ウォレット」を提供するような、実用的な銘柄が複数存在。それら銘柄の紹介ページはこちらの通りですが、今回の出来事は、暗号資産が単なる投資商品という枠を超える存在であることを明確にする動きであると言えそうです。


そして、暗号資産を「投機対象」ではなく「価値を保つデジタル資産」として認識する動きは、機関投資家の間でも広がっています。たとえば、「555ミリオンプラン」という莫大なビットコイン保有戦略を公言するメタプラネット社は、すでに1万5,555BTCを購入済み。さらに、同社の代表取締役であるサイモン・ゲロヴィッチ氏は、将来的にはビットコインを担保として、デジタル金融サービスのような領域に進出する旨を話しています。


この1年で複数回にわたり、財務資産の一部をビットコインに転換しています。「日本版マイクロストラテジー」とも呼ばれる同社の戦略は、長期的な資産保全と自社ブランディングを兼ねた先進的な試みとして注目されています。


このように、今回のリミックスポイント社による発表は、日本における暗号資産の社会的地位にさらなる影響を与えていく可能性があるでしょう。一方で、役員報酬をビットコインで受け取るという決断には、制度的なハードルもあります。 たとえば、日本の労働基準法第24条では「通貨払いの原則」が定められており、給与は原則として日本円で支払わなければなりません。 ただし、役員報酬についてはこの規定の対象外となるケースが多く、本人が同意すれば暗号資産による支給も可能とされています。 


加えて、税務面でも注意が必要となるでしょう。 ビットコインで報酬を受け取った場合、受け取った時点での時価総額がそのまま課税対象となり、所得税が発生します。 そして、保有中に価格が上がれば、売却時に譲渡所得として追加の課税が生じることになります。 こうした複雑なルールを理解したうえで、それでもなお役員報酬を暗号資産を選ぶということは、将来性に対する一定の見通しがあってこそでしょう。 


したがって、リミックスポイントの決断は、日本における暗号資産の実用化に向けたひとつの節目といえるかもしれません。 これを機会に制度整備が進み、同様の取り組みが他社にも広がっていけば、ビットコインをはじめとする暗号資産がいよいよ日常の経済活動の中に溶け込んでいく可能性も十分にあります。